白竜戦記

MMORPG UltimaOnline 無限シャードにて開催のPCイベント白竜戦争の記録置場
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# 【投稿レポート】【白竜戦争】とある渡り鳥の物語
 騎士JOHNの記録

商人同盟の元に傭兵、匪賊を経て
身を投じた戦場の渡り鳥。
彼らの知られざる物語をJOHNは紡ぐ――

「【白竜戦争】とある渡り鳥の物語」

 
[JWG]メンバーに、感謝と共に捧ぐ

                  ―――JOHN



- * - * - * - * - * -



その男の名は、Dholaviraといった。

彼は仲間と共に傭兵として白竜戦争に参加、副盟主を務めていたが

開戦後1週間を待たずに造反、仲間の首を手土産に匪賊に寝返った。

そして戦争中期には匪賊をも出奔、商人同盟の一員となった。

その行動から当初俺は、彼らにまったきの信を置く事ができずにいた。

いつ何時我々をも裏切るか、知れたものではない、と。

だが戦力に乏しい俺たち商人にとって、彼らは

是が非でも味方にしておきたい並外れた戦闘能力を有していた。

背に腹は変えられぬ。

俺たちは喜んで彼らを迎え入れた。

注意を怠らないよう、気をつけながら。



Dholaviraは、その裏切りの経歴からは想像もつかないような明るい男だった。

常に笑顔を絶やさず、馬鹿な事を言って仲間を笑わせる、そんな男だった。

それでいて戦場に立てば誰よりも早く敵陣に突撃し、誰よりも勇敢に戦う。

俺自身、幾度と無く戦場で助けられた。

彼とその仲間のMiro、AIの働き無くして、

俺たちが戦い続ける事などできなかったと言っても過言ではない。

そのくらい、彼らの戦闘能力は俺たちにとって貴重だった。

だがその一方で俺は、

心の片隅にほんの少しだけ残る裏切りへの不信を拭い切れないでいた。

副盟主の立場ゆえか。

俺自身の猜疑心か。

どちらにしても万一の事があった時、仲間を守る行動が取れるよう、

心の準備だけはしておかねば、と思っていた。

結局それは杞憂に過ぎなかったわけだが。



その日の戦闘はもう全て終わりだと思って、拠点でくつろいでいた時。

Dholaviraが突然、今から傭兵拠点を攻めようと言い出した。

その場に残っていた全員が目を丸くした。

当然だろう。

その場に残っていたのは彼自身を含めてたったの5人なのだ。

この人数で傭兵拠点を攻めたところで返り討ちが関の山だ。

確認するまでもなく傭兵の方が数が多く、個々の戦闘力は高く、

統制の取れた動きをする。

今更くどくどと説明するまでもないほど、勝ち目は無い。

もちろん、Dholaviraとてそれは百も承知。

「だから2階まで誰か1人でも辿り着いたら、俺たちの勝ちって事にするんだ」

「ぶ」

笑いながら途方もない事を言うDholaviraに、俺もつられて笑ってしまった。



Dholaviraのもうひとつの特徴、それは無類の戦好きだという事。

戦をするのが楽しくて仕方が無い、

見ているだけでもそれはひしひしと伝わってくる。

だが今回はそれだけではなかった。

その場にいた5人、Dholavira、Miro、RyptoN、sheep、そして俺。

たったこれだけで傭兵拠点を攻めようと言うのだ。

単に、暴れ足りないから行ってくる、というのとは少し違っていた。

そう言って出掛けていく事もままある彼だ。

それが今回に限って、みんなを誘う気になった理由とは・・・?



俺は、面白いと思った。

まず間違いなく勝てはしないし、合理的に考えればメリットは何も無い。

それを承知で突っ込もうぜ、と言うDholavira。

その破天荒なアイデアが気に入った。

勝利に執着するあまり、忘れていたものを思い出させてもらった気分だ。

たまには馬鹿になって暴れるのも悪くない!!



全員が同じ事を考えたかどうかはわからないが、

少なくとも全員が乗り気で同行を決めた。

よし、いっちょ派手に暴れてやろうぜ!!



Dholaviraの出したゲートで傭兵島に上陸。

5人でかたまって移動する。

すぐに傭兵拠点が見えた。

オレンジネームの数は明らかに俺たちより多かった。

だが、その数を数えるつもりも、誰がいるかを確認するつもりも俺には無かった。

全員でうなずきあい、バンッ!! と傭兵拠点の扉を蹴り開ける。

誰かが火炎瓶を投げ込み、一瞬にして傭兵拠点は火の海と化した。

更に毒壁が焚かれ、傭兵たちが浮き足立つ。

さあ、お祭りの始まりだッ!!



「うおおおッ!!」

俺は手近な敵に斬り掛かっていた。

火炎瓶と毒壁によって敵を混乱に陥れたのは大成功だった。

お陰で傭兵はいつもの統制の取れた動きができない。

尤も、味方も互いを見失ってはいたが。

逃げる敵を追って2階へ上がると、傭兵盟主のLavaに出くわした。

既にかなりの深手を負っている。

好機ッ!

俺は躊躇い無く斬り掛かった。

気配を察したLavaも自慢の斧を横薙ぎに繰り出してくる。

ドガッ!!

「ごふっ」

Lavaの一撃が、俺の体力をごっそりと奪っていった。

くそっ!!

悪態をついて、もう一撃Lavaに食らわせんと睨みつけた時、

ヤツの身体が前のめりに崩れ落ちた。

(た、倒したのか・・・?)

倒した後になって躊躇する自分が可笑しい。

それでも反射的にヤツの棺桶を開き、権利書を探す事は忘れない。

そして、震える手でそれを鷲掴みにして叫んだ。

「Lava討ち取ったりいいいぃぃぃぃ!!」



敵の姿を求めて屋上へと駆け上がる。

だがいない。

どうなっている?!

状況が把握できずに階下へと駆け下りる。

1階の集会室まで戻ると味方が残っていた。

と、いう事は・・・、

「傭兵拠点制圧!!」

誰かが叫んだ。

「すげぇ!!」

思わず俺も叫んでいた。

「マジか!」

「やったぜ!」

気がつけば、今までどうしても倒す事ができなかった傭兵を相手に、

たった5人でその拠点を制圧するという快挙を俺たちは成し遂げていた。



その快挙を喜び合っていたのもつかの間。

拠点の外に逃れ、態勢を立て直した傭兵が逆襲に転じた。

いつもの冷静さを取り戻し、統制の取れた動きで攻めてくる傭兵。

俺はたちまちのうちに落とされた。

見慣れた灰色の世界。

仲間の多くもわずかな間にやられていた。

だが俺たちは、誰一人後悔も敗北感も感じていなかった。

―――2階まで誰か1人でも辿り着いたら、俺たちの勝ち―――

Dholaviraの言葉を思い出して笑っていた。

ここに来る前は、2階まで辿り着く事さえ、難しいと思っていたのだ。

それなのにホンのわずかな時間とは言え、傭兵を駆逐して拠点を占拠した。

これを大勝利と言わずして、何と言うのか!

俺たちは幽霊になっても、その成功を喜び合っていた。



そして俺はこの時初めて、泣き虫傭兵Canariaと言葉を交わした。

お互い幽霊姿で。

俺は可笑しかった。

以前から互いの事を知ってはいたが、

実際に会って話をするのはこれが初めてだというのに、

ふたりとも幽霊だとは!

まぁ、幽霊だからこそ敵同士が話をする事ができた、とも言えるのだが。



さて、

全員死んじまって、どうやって帰ろうか?

と笑いながら話していた時、

「RyptoN?!」

誰かが驚きの叫びをあげた。

森の中を疾走するラマに騎乗した姿。

「マジで?!」

「うおお、すげぇっ!!」

彼はただ一人生き残っていた。

たった一騎で、その10倍はいようかという傭兵を相手に

森の中で鬼ごっこを演じていたのだ。

俺たちの中に再び希望の灯が灯った。

遠からず落とされるのは間違いないだろう。

それでも1分1秒でも逃げ延びれば、その分だけ

傭兵に一泡吹かせた、という事になる。

尤も、俺たちは全員幽霊だからできる事は何もない。

たったひとつを除いて。

『がんばれえええ!!』

『逃げろおおおお!!』

『1秒でも長く生きるんだー!!』

俺たちは一丸となって応援を始めた。

『はい! がんばります!!』

RyptoNが応じる。

幽霊たちは思わず顔を見合わせた。

「何で返事してるんだ!!」

「余裕だな、おい!」

笑い声。

可笑しかった。

この戦争が始まってから、こんなに可笑しい事があったか?

というくらい可笑しかった。

『ボーラが来るぞ!』

『気をつけてー!』

それでもRyptoNはそこからまだ、かなりの時間、逃げ回っていた。

俺たちは彼が落とされるまで、声援を送り続けた。



傭兵のひとり、sinkiが出してくれたゲートで俺たちは商人島へと帰った。

全滅では帰れないだろうと、気を利かせてくれたのだ。

全員が幽霊での帰還。

全員が全ロスト。

Dholaviraに至ってはMAFと呼ばれる貴重な装備すらロストしていた。

作戦と呼ぶにはお粗末な突撃だった。

結果を見れば、惨憺たる敗北かもしれない。

それでも、全員が笑っていた。

圧倒的多数の傭兵を前に誰ひとり怯む事無く突撃し、

一時的であっても拠点を占拠したことに変わりは無い。

今までの蹂躙されるだけの戦いからしたら、

これを大勝利と言わずして何と言うのか。

権利書の枚数だけが全てではない、

突撃した全員の心には間違いなく“大勝利”の文字が刻まれた筈だ。



「みんな、こんな馬鹿な作戦に付き合ってくれてありがとう!」

Dholaviraが頭を下げた。

いつもの笑顔。

だが、俺にはいつもとは少し違って見えた。

何となく、だが。

もしかしたら、商人同盟に組するようになって、

ここまで腹を割って話したのは、これが初めてだったんだろうか?

彼らにとって、俺たちは本当に仲間と呼べる存在だったんだろうか?

もしかすると、

心のどこかに裏切り者という気持ちを持っていたかもしれない。

どこか、馴染めない感じがしていたかもしれない。

無謀極まりない突撃ではあったが、

5人全員が感じた勝利の快感―――これを共有した時、

俺たちが本当の意味で仲間になった瞬間だったのかもしれない。



俺は予備のプレートメイルを身にまといながら、

笑いながら談笑する仲間たちを見て思った。



“Dholaviraと、その仲間たちに感謝と祝福を”
 
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